ついに訪れた豊田真奈美の30周年&引退興行。これまでも自身の周年興行ではすべての試合に出場するなど驚かせてきた豊田だが、この日の引退試合は大会全体を5つのブロックに分け、約50人を相手にするという前代未聞の挑戦だった。ゆかりのある選手が次々とリングに上がり、1分の試合を終えると豊田に花束を贈呈。すでに引退しているOGの参戦や来場も多く、会場は終始、温かいムードに包まれた。
メインイベントは藤本つかさとの時間無制限1本勝負。最後は藤本に3カウントを取られて終わることを望んでいた豊田だが、すでに限界を超えていながらもJOサイクロン・スープレックスで勝利。しかし「藤本が勝つまで終わらない」と話していた豊田は「まだやれるか!?」と藤本に呼びかけ再戦をアピールし、再びゴングが打ち鳴らされる。2本目もJOクインビーボムで豊田の勝利に終わるが、3本目にして藤本がビーナスシュートからJOサイクロン・スープレックスを決めて3カウントを奪取した。試合後はヘアドネーションの活動として髪を寄付するための断髪式が行なわれ、トレードマークの長い黒髪にハサミが入れられる。これまでの経歴を辿るVTRが流され、豊田から最後のあいさつ。10カウントゴングに続き、リングがピンク色の紙テープに包まれた。
★メインイベント後のマイク
豊田「(泣きながら)藤本…今日はホントに私が藤本に、思いっきりぶつかりたかった。でも動けなくてごめん。こんなダメな私でも慕ってくれて本当に、本当にありがとう。申し訳ない。サイクロン、これから私のイメージじゃなくて藤本の技として。本当に、藤本だったら絶対やってくれるって期待があるからこそ今日だってメインに選んだ。“豊田真奈美2世”じゃなくて、藤本つかさってものをどんどん価値上げていってほしい。2世は絶対に上にはいけない。だから絶対に藤本つかさっていう名前をどんどん上げていってほしい。今日はありがとう。本当にありがとう」
藤本「不甲斐ないって豊田さんは言うけど、50試合以上もやったあとに自分から2回もフォールを奪って、どこが弱いレスラーですか。豊田さんは強い。最後まで強い。一生、一生尊敬します。豊田さんこそ、女子プロの未来です。ありがとうございました」
★豊田のあいさつ
「皆さん、今日は豊田真奈美引退興行にご来場頂き、まことにありがとうございました。皆さん楽しんでいただけたでしょうか? ホントにどこも痛くない自分の体に戻りたいです。十分な試合も、今日お客様に見せることができず、本当に申し訳なくて悔しい気持ちでいっぱいです。でも、こんな私でも皆さんこうやって応援してくださって、本当に私は30年間プロレスやってきて、本当に本当に幸せでした。今日、興行やるにあたっていろいろ用意とかも大変でOZのスタッフさん、今回のカードを決めるのにもみんな快く私の『50試合やりたい』っていう気持ちを叶えてくれて、ホントに私はいろんな人に助けられて30年間いたんだなと思って、本当に皆さんありがとうございます。こんな自分を30年間も応援してくださって、皆さん本当にありがとうございます。今、本当に体がすごくつらい状態です。もう一度きちんと痛みのない生活をして、もう46歳ですがまだまだ、これから第二の青春を楽しもうと思いますので。まずは、治療を一生懸命頑張ります。30年間終わりました。本当に、皆さん今まで応援ありがとうございました」
★藤本のコメント
━━最後の相手を務めて。
「どうして自分の引退興行なのに私を後入場にしたり、もう藤本の課題をクリアするための試合じゃないですか。そういうのをしてくださったんだろうって思って“もう、そりゃみんな豊田さん好きになるよ”って思いました(笑)。どうしてそんなに自分のことよりも後輩たちのために、女子プロレスの未来のためっていうふうに考えてくださるんだろう。“最後ぐらい(自分のために)”って思ったんですけど、そこが豊田真奈美らしいところなのかなと思いました。豊田真奈美は強いです。今日、一番最初に『強い豊田真奈美を最後まで見せたい』って言ってたじゃないですか? それはもう、自分を通して証明してしまった形になっちゃったのかなと思って、悔しい気持ちはあります。豊田さんと試合をしててホントに会話をしているような気分でして、サイクロンで1回目に上げた時はロープを使ったんですよ。『ロープで上げるんじゃない、その場で上げるって約束したでしょ?』って言われてるような感じで、それで豊田さんは意地でキックアウトしたのかなと思いました」
━━「豊田真奈美2世ではなく、藤本つかさとして名を上げろ」と言われたが。
「はい。そうですよね。2世って言われてたことがすごく自分の中では嬉しかったんですけど、これからは豊田さんの言葉を胸に藤本つかさとして、藤本つかさのジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックス・ホールドをこれからプロレス界で広めていきたいと思います」
━━『豊田真奈美は女子プロ界の未来』という言葉について。
「豊田さんがいることによって、これからまた豊田さんみたくなりたいっていうプロレスラーが絶対現れると思うんです。豊田さんがいたから自分もこれから頑張ろうと思うし、後輩たちも今日の豊田さんの引退興行を経験して、自分も豊田真奈美みたく惜しまれて引退したいって思うと思うんで、それが未来につなががってると思ったからです」
━━フォールしてからジャンプしてのフットスタンプ連発も出したが。
「どうでしょう…? とっさに出ました(笑)」
━━豊田の言葉を受けて今後は?
「豊田さんは、自分にできないことを藤本にやってほしいと言っていたんですよ。豊田さんが身体も悪くて肩が上がらなくて、豊田さん自身がその場で持ち上げることができない状況の肩だったんですね。だから私にその場で持ち上げろって言ったと思うし、豊田さんができなくなったことを、今度は私が後輩たちに伝えて、それが女子プロを紡いでいく物語なのかなと思いました」
『豊田真奈美30周年記念興行~飛翔天女~豊田真奈美引退』
◆11月3日(金・祝)神奈川・横浜大さん橋ホール(15:00)
観衆未発表(超満員札止め)
≪第1ブロック≫
▼3分1本勝負
●豊田真奈美(3分0秒/リングアウト)尾崎魔弓○&桜花由美&雪妃魔矢&Alex Lee withポリス
≪第2ブロック≫
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(37秒/ムーンサルトプレス→体固め)テキーラ沙弥●
▼1分1本勝負
●豊田真奈美(55秒/もちハムバーガー→体固め)星ハム子○&宮城もち○
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(55秒/キャメルクラッチ)さくらえみ●
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)山下りな△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)里村明衣子△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)倉垣翼△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)AKINO△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)世羅りさ△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)ドレイク森松△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)チェリー△
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(48秒/ジャパニーズオーシャン・クインビーボム→片エビ固め)希月あおい●
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)宮崎有妃△
▼1分1本勝負
●豊田真奈美(25秒/横入り式エビ固め)ボリショイキッド○
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)豊田真GAMI&旧姓・豊田さく美△
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(32秒/ジャオパニーズレッグロールクラッチを切り返す→エビ固め)米山香織●
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)加藤園子△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)Leon△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)山縣優△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)朱崇花△
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(59秒/ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックス・ホールド)小林香萌●
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)志田光△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)松本浩代△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)浜田文子△
▼1分1本勝負
●豊田真奈美(59秒/ローリング・クレイドル)永島千佳世○
≪第3ブロック≫
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)日高郁人△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)パピヨン朱美△
▼1分1本勝負
●豊田真奈美(57秒/リングアウト)がばいじいちゃん○
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)松山勘十郎△
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(7秒/フロントキック→体固め)キッド●
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)アントニオ小猪木△
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(39秒/モロ出し→反則負け)男盛●
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(48秒/ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックス・ホールド)木高イサミ●
▼1分1本勝負
●豊田真奈美(58秒/有刺鉄線ボード上へのドラゴン・スプラッシュ→体固め)伊東竜二○
≪第4ブロック≫
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)カルロス天野△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美〔セコンド:山田敏代〕(時間切れ引き分け)下田美馬△〔セコンド:三田英津子〕
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)山崎五紀△
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(33秒/横入り式エビ固め)ブル中野●
▼1分1本勝負
○豊田真奈美(42秒/ボディースラム→体固め)長与千種●
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)ジャガー横田△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)吉田万里子△
▼1分1本勝負
●豊田真奈美(56秒/ジャパニーズオーシャン・クインビーボム→片エビ固め)高橋奈七永○〔セコンド:南月たいよう〕
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)KAORU△
▼1分1本勝負
●豊田真奈美(41秒/ダイビング・フットスタンプ→体固め)伊藤薫○
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)渡辺智子△
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)井上貴子△
▼1分1本勝負
●豊田真奈美(56秒/浴びせ蹴り→体固め)堀田祐美子○
▼1分1本勝負
△豊田真奈美(時間切れ引き分け)井上京子△
≪第5ブロック≫
▼豊田真奈美引退試合・時間無制限1本勝負
○豊田真奈美(7分6秒/ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックス・ホールド)藤本つかさ●
▽再試合
○豊田真奈美(3分34秒/ジャパニーズオーシャン・クインビーボム→体固め)藤本つかさ●
▽再々試合
●豊田真奈美(5分52秒/ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックス・ホールド)藤本つかさ○
※全51試合。豊田の12勝10敗29分け。