大仁田厚の“化身”グレート・ニタが、10・31後楽園での本家の引退を前に、リングに別れを告げ、東京湾の台場の海に消えていった。
8月27日、東京・新木場1stRINGでの「さよならグレート・ニタ」興行を前にして、10日に台場の海に出現したニタ。その後、17日間、どこで何をしていたかは全く不明だが、会場にはちゃんと現れた。
“最後の魔界対決”と銘打たれた一戦で、ニタは“腹違いの妹”グレート・タム、落武者橋本、雷電と組み、ジーザス矢口、ミスター・ポーゴ2世、怨霊、寧々D.a.i組と8人タッグマッチで激突。ニタはいきなり、矢口に緑の毒霧を噴射し、先制攻撃を仕掛けると、怨霊に机上パイルドライバーを繰り出すなど、変幻自在のファイトで、矢口組をほんろう。妹タムともダブルの毒霧、合体ブレーンバスターを披露するなど連係は絶妙。最後は自身の体を360度回転させてからのトリッキーなイス攻撃、続けてバックドロップを怨霊に見舞い、3カウントを奪った。
ラストマッチを白星で飾ったニタは、「最近日本語を覚えた。『さよならニタ』ということは、オオニタもさよならだと思う。日本で初めて覚えた言葉は『疲れた』。また今から海に帰る。バカらしいと思うけど、いい年こいて海に帰る。今から夜の海に行く。全国に行って、オオニタにニタのサインを求めるヤツがいるけど、もうやめてって! オレとニタは兄弟でも親せきでもなく、たまたま知り合いなだけ」と、ニタ史上初のマイクアピールをして、超満員の観衆を驚かせた。さらに、ニタは「今日は半分だけオオニタになります」と言うと、まさかの「1、2、3、ファイアー!」で締めくくった。
そして、ニタは試合後のサイン会を終えると、東京湾へと向かい、10日に出現した場所からほど近い台場の海に消えていった。90年に米国マットにニタらしき男が登場し、国内では、94年12月1日、広島グリーンアリーナで初めて姿を見せたニタが、ついにリングから去ってしまった。それでも、その意思は、妹タムに受け継がれていくことだろう。
セミファイナルでは全世界の“ブス代表”ミス・モンゴルが、チャレンジしてきたMr.ハゲを、グーの音も出ぬほどのドS殺法で返り討ちにした。元アイドルレスラー・中野たむとの一連の抗争劇で、「がんばってるブスはなかなか認めてもらえないけど、カワイイ子はがんばれば認めてもらえる」とのモンゴルの言葉に感銘を受けたというハゲ。14日の会見では、「全世界のハゲに勇気を与えたい」として、モンゴルに挑戦を表明した。
デビューから苦節11年。なかなか陽の当たらないドインディーのリングで闘ってきたハゲにとっては、素顔での初めての大舞台。登場時に場内には、秘書に暴言を浴びせ、暴行を加えたとして自民党を離党した豊田真由子衆院議員のものと思われる「この、ハゲ~!」の音声が流れると、ハゲ仲間2人とともに、ヒゲダンスで入場したハゲ。
このふざけた入場シーンに怒り心頭のモンゴルは、ハゲの少ない頭髪をつかんでむしり、ムチでしばき、ハサミで髪を切るなどの暴挙に出た。セコンドが再三介入するも、モンゴルは動じず。最後は急所蹴りから、頭髪をつかんで、後ろに強引に投げ飛ばした。後頭部をしたたか打ったハゲは、フォールを返すことができず、無念の3カウントを聞いた。ハゲは「モンゴルさん、命より大事な髪を切るなんて卑怯だ。ハゲは世界中にいる。またブスを狙っていく。オレたちはチーム・ノー・ヘアーだ!」とアピールし、リングを降りた。
控室に戻っても、怒りが収まらないハゲは「精神的なダメージが大きい、まさかハサミを持ってくるとは。でも世界中にはたくさんハゲがいる。必ず復しゅうしてやる」と雪辱を期した。かたや、モンゴルは「一生懸命な方向が違うんじゃない? 憎しみが沸いてきた。(再戦は?)1回でいいかな。ライバルでもないし、結託する気もない。考え方が似てるようで違う。ハゲをバカにしてるんじゃない? 共感できない」と再戦には気乗り薄だった。
大仁田興行『さよならグレート・ニタ新木場大会』
◆8月27日(日) 東京・新木場1st RING(18:00)
観衆350人(超満員)
▼セミファイナル 特別試合・30分1本勝負
ミス・モンゴル(7分32秒/髪の毛をつかんで後方に投げ飛ばす→片エビ固め)Mr.ハゲ
▼メインイベント グレート・ニタ最後の魔界対決・時間無制限1本勝負
○グレート・ニタ&グレート・タム&落武者橋本&雷電(11分50秒/体固め)ジーザス矢口&ミスター・ポーゴ2世&●怨霊&寧々D.a.i
※試合写真&記事提供:大仁田厚事務所